「羊をめぐる冒険」の翻訳(56)
3 歌は終りぬ(5)三代めの店は昔ビルから五百メートルほど離れた川のほこりにあった。さして大きくはないがエレベーターまでついて新しい四階建てのビルの三階である。エレベーターに乗ってジェイズ?バーに行くというのもどうも妙なものだ。カウンターの椅子から街の夜景が見渡せるというのも妙だった。
新しいジェイズ?バーの西側と南側には大きな窓があって、そこから山なみと、かつて海であった場所が見渡せた。海は何年前にすっかり埋めたてられ、そのあとには墓石のような高層ビルがぎっしりと建ち並んでいた。僕はしばらく窓際に立って夜景を眺めてから、カウンターに戻った。
「昔なら海が見えたね」と僕は言った。
「そうだね」とジェイは言った。
「よくあそこで泳いだよ」
「うん」と言ってジェイは煙草をくわえ、重そうなライターで火をつけた。「気持はよくわかるよ。山を崩して家を建て、その土を海まで運んで埋めたて、そこにまた家を建てたんだ。そう言うのを立派なことだと考えている連中がまだいるんだ。
僕は黙ってビールを飲んだ。天井のスピーカーからボズ?スキャッグズの新しいヒットソングが流れていた。ジュークボックスはどこかに消えていた。店の中の客は殆んどが大学生のカップルで、彼らはこざっぱりした服を着て水割りかカクテル一口ずつ行儀(ぎょうぎ)良く飲んでいた。酔いつぶれそうな子もいなければ、ぴりっとした週末の喧騒もなかった。きっとみんな家に帰ったらパジャマに着替えて、きちんと歯を磨いて寝るのだろう。でもそれはそれでよいことだ。こざっぱりしているのはとても素敵だ。世界にもバーにも、ものごとのあるべき姿なんてそもそものはじめから存在しないのだ。
ジェイはそのあいだずっと僕の視線を追っていた。
「どうだい、店が変わっちまって落ちつかないだろう?」
「そんなことはないよ」と僕は言った。「混沌がその形を変えただけのことさ。きりんと熊が帽子をかえっこして、熊としまうまがえりまきをかえっこしたんだ」
「あいかわらずね」とジェイは言って笑った。
「時代が変ったんだよ」と僕は言った。「時代が変えれば、いろんなことも変える。でも結局はそれでいいんだよ。みんな入れ替えっていくんだ。文句は言えない」
ジェイは何も言わなかった。
僕は新しいビールを飲み、ジェイは新しい煙草を吸った。
「暮しむきはどうだい?」とジェイは訊ねた。
「悪くないよ」と僕は簡単に答えた。
「奥さんとはどう?」
「わからないな。人と人とのことだからね。うまくいきそうに思える時もあるし、そうじゃない時もある。夫婦って、そういうもんじゃないのかな?」
「どうかな」とジェイはいって、具合悪そうに小指の先で鼻をかいた。「結婚生活がどんなものかなんて忘れちゃったよ。。ずいぶん昔のことだからさ」
「猫は元気?」
「四年前に死んだよ。あんたが結婚したちょっとあとかな。腸を悪くしてさ……、でも本当は寿命(じゅみょう)だったんだよ。なにしろ十二年も生きたんだものね。女房といたより長かったよ。十二年生きればちょっとしたもんだろう?」
「そうだね」
第三代酒吧建在了离原来那栋楼约500米的河的旁边。虽然没有扩大但可以乘电梯到达的新建四层楼的三楼。乘电梯能去洁伊斯酒吧是件很快乐的事情。坐在柜台的椅子上能瞭望楼外的夜景也是件很快乐的事情。
在新酒吧的西侧和南侧有很大的窗户,从那里可以瞭望山脉和大海的痕迹。几年前大海被填埋,之后像墓碑那样高楼林立。我站在窗边瞭望了一会儿夜景之后回到了柜台。
“过去可以看到海的。”我说。
“是的。”洁伊说。
“经常在那里游泳的。”
“是吗?”说后洁伊叼上了烟,用很重的打火机点着火。“你的心情很容易理解。把山炸平建房子,把土运到海边填海接着又在那里建房子。把这些事情看成好事的人还是有的。”
我没有说话喝了啤酒。从屋顶上的扩音器里播放着波斯新作的曲子。投币式自动播放器从哪里已经消失了。店中的客人几乎都是大学生的成对恋人,他们穿着很整洁的服装一口口很礼貌地喝着加水鸡尾酒。若没有酩酊大醉的女学生,也就不会有周末的喧哗。各位回到家后换上西式睡衣,然后刷牙睡觉。当然这样很不错。穿着整洁的服装是很美丽的。别管是在世界还是在酒吧,各种各样的姿态从最开始是不存在的。
洁伊在那一段时间里一直盯着我的视线。
“怎么样?酒吧改变不小,感觉还好?”
“并没有那样的感觉。”我说。“混沌也只能改变其状态。熊把帽子换掉,换成了围巾。”
“跟平常一样呀,照旧!”洁伊说着笑了。
“时代已经变了。”我说。“时代变了,各种各样的事情也都变了。结果呢也都不错。大家也都发生了变化。不用发什么牢骚。”
洁伊什么也没有说。
我喝了新的啤酒,洁伊吸上了新换的烟。
“最近生活怎么样?”洁伊问。
“凑合,一般般。”我简单地回答。
“夫人怎么样?”
“这个说不清楚。不过是人和人之间的关系罢了。有的时候想好好生活,也有的时候不想好好过。夫妇两口子吗,不也就是凑合过吧。”
“真是说不清楚。”洁伊说。是不舒服吧,他用小手指尖挠了一下鼻子。“婚后的生活怎么样呢?现在完全忘掉了。那是很久以前的事情了。”
“那只猫还好吧?”
“在4年前死掉了。是在你刚刚结婚之后吧。它的肠子坏了。不过它够长寿了。已经活了12年了。比和老婆相处的还长。也不过生活了12年。”
“是的。”
主人公和这位朋友、酒吧的老板能交流什么内容呢?